Story.01

野球少年、
まさかの柔道部に入部。

「じゃ、明日から、練習よろしくな」。柔道部の先輩はこう言った。いや、おかしい気がする。いやいやいやいや。気がする、ではなく、明らかにおかしいぞ。中学に入学したばかりの僕は、そう思った。僕は柔道部の部活見学に来ただけだ。ただ、友達のお兄ちゃんが柔道部にいるから、興味本位で見学に行ってみただけなのである。

それにもかかわらず、僕は「わかりました」と返事をした。いやいやいやいや。なぜだ。なぜなんだ。実は僕は、中学からはサッカーを始めようと思っていたのである。もしくは、小学生の頃に始めた野球を続けようかとも考えていた。サッカーか、野球か。その2択で迷っていた僕は、一体どこに行ってしまったのだろうか。もしかすると、僕はこの部活見学をしている最中に、どこか柔道の魅力に取りつかれていたのかもしれない。

柔道少年、自信を手にする。

ひょんなことから柔道部に入部した僕は、次第に柔道の面白さにハマッていった。なぜ自分があのとき「わかりました」と言ってしまったのか。その理由もすぐにわかった。柔道は、野球とは違って、たったひとりで戦うスポーツ。そこには後ろ盾がなく、一度の油断が命取りになる、まさにサバイバルだ。そんな状況で、相手を担ぎ上げて華麗に投げるその様に、僕は強烈なかっこよさを感じていることに気づいたのだ。

「強くなりたい」。そう思った僕は、のめり込むように練習した。練習はきついと言えばきついが、それよりも「色んな技ができるようになっていく自分」が嬉しかった。そして、柔道を始めてから間もなくして、大会で優勝するようになった。朝の会で全校生徒の前で表彰される。名前を呼ばれて壇上に上がり、みんなからの視線が僕に集まるときのこのしめしめ感が、たまらない。僕は、柔道を通じて自信がつき、自分の人生が拓かれていくような感覚を覚えた。

試しにやってみないと。本気で。

その後の僕は、自分が気になったものをとにかくやってみようと思うようになった。高校では、体育祭の応援団長を買って出た。大学では、四国遍路をしてみようと思い、頭を丸めて旅に出た。どれもこれも、大きな決意をしたとかではない。なんとなく気になったから、やってみよう。そんなラフな動機だ。

でも、やってみるからにはその世界にどっぷり入り込んでみると決めた。自分に合うかどうかは、その世界に入ってみてからわかるものだと思った。

人生、やってみたらいい。

やってみないとわからない。よく聞く言葉だ。でも、僕はこの言葉がストンと腹落ちしている。やってみないとわからないということを、まさに自分自身が体感してきたからだ。

僕の人生の転機はまぎれもなく。なんとなく「わかりました、柔道部に入ります」と言った、あのときだ。

スタンバイ事業部

Message
いまの自分から、あのときの自分へ。

その道を歩んでいけば大丈夫だよ。

志村 良夫管理本部 財務経理室 マネージャー

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